小川公一(おがわこういち)
拡張ディスクアトルガンの秘宝」ディレクター。

元々はコナミでがんばれゴエモンの開発に携わっていたが、開発チームごとスクウェア移籍武蔵伝の開発ではシナリオライターを務める。

プロマシアの呪縛」まではマッププランナー*1を務めており、「アトルガンの秘宝」でディレクターに就いたことから知名度が上がった。拡張ディスクアルタナの神兵」でも引き続きディレクターを担当した。

→公式サイトによる本人挨拶

2010年8月をもってスクウェア・エニックスを退社した*2。2012年6月時点では株式会社グッド・フィール*3に所属しており、ヴァナ★フェス2012では歴代ディレクターの1人としてトークセッションに参加している。

マッププランナーの手腕

プロマシアの呪縛」の初期をご存知のプレイヤーであれば骨身に染みていると思われるが、極めてストレスの多いつくりが中心。
プロミヴォンでは階層移動時の制限時間が短いため、チームが分断されるなどが散見され、攻略に失敗した場合は最初からやり直し。道中のモンスターは全てインスニが無効で、絡まれた場合は倒さなければならないが、絡まれた端からまた絡まれるなどの光景も珍しくなかった。薬品必須で相場は大暴騰、ジョブ縛り編成縛りは珍しくなく、超長時間拘束され、高難易度BC(失敗すれば勿論最初から)のプロミヴォン-ヴァズに至っては「絆ブレイカー」の名言も生まれた。

同様に見破りモンスターを多数配置し、複雑な構造のフォミュナ水道ミッションソロ攻略が仕様として不可能な礼拝堂。同様にみやぶり、ワープを多数配置したリヴェーヌ岩塊群。時間制限のある通路にやたら入り組んだ地形のアットワ地溝。劣悪を通り越したアクセスのプルゴノルゴ島ヴォイドウォッチ実装までは常時無人であった。

また、これらのエリア地図は極めて困難、ないしは大変に手間がかかることで知られており、しかも手に入れたところで構造がまったく把握できない「子供の落書き」という表現もなされるほどで、そもそも取得していないケースも多い。

レベル制限撤廃まで、リンバスや移動で用いられるアル・タユを除いては、プロマシアエリアはほぼ完全に死にエリアといって差し支えないほどに廃れきっていた。
しかしこれらは小川氏1人の責任というわけでは決してなく、意地悪なマップ構成やギミックではあるものの、ディレクターである河本信昭氏の「簡単にクリアされたら悔しいじゃないですか(笑)」に代表されるように、最初からクリアさせることを目的としていない難易度調整とコンテンツ設計であったためである。

そんな小川氏がディレクターに就任した「アトルガンの秘宝」。当然耳の早いプレイヤーは、その実績から極めて不安視していたことは至極当然であった。

案の定、実装直後に各地で多発したチゴーによる事故死をはじめとし、各地の入り組んだ地形、みやぶり・生命感知などのモンスター多数配置、出現条件が不明確なNMサルベージのギミックなど、「プロマシアの呪縛」時代に比べればかなり優しくなったとはいえ、プレイヤーへかかるストレスが大きければ大きいほどよい、とする方針はあまり変わっていなかったように見受けられる*4

こうした実績から、小川氏の設定する水準は高いストレスをプレイヤーに与え、それらを乗り越えた達成感を与えるという手法を好むように見受けられるが、設定するボーダーラインが非常に高く、前述の河本信昭氏の方針とあいまって、プロマシアの呪縛攻略は諦めたというプレイヤーも数多く存在していた。

ディレクターの手腕

アトルガンの秘宝」では、今までにない新しい試みが多数組み込まれ、それらの多くは後の追加ディスクやコンテンツへと引き継がれるなど、その手腕を大いに振るった。壮大なストーリー、サンクションシステム、一部のエリアは例によって人の踏み入らない死にエリアと化しているものの*5、新規狩場や大人数コンテンツ「ビシージ」、地球時間を基準とした回数制限を設けたアサルトサルベージエインヘリヤルは(批判はあったものの)プレイヤーが足を運ぶには充分な魅力を持っていた。「コリブリファンタジー」「シュッシュオンライン」など、この頃に生まれた名言もいまだに用いられていることからも伺える。

引き続き「アルタナの神兵」のディレクターを務めた。アトルガンの秘宝でのディレクションが好評であったことから、プレイヤーの期待は大きかった。アトルガンの秘宝で確立された多数のコンテンツの長所は引き継ぎつつも新しいものを提供し、パッケージとして非常に高い完成度となり、プレイヤーからの評価も極めて高い。

こうした実績から、小川氏がスクウェア・エニックスを退職された際には惜しむ声が多かったという。

発言を巡って

獣使いの調整に関して、2006年3月の「心配しないでください」から始まり、2007年5月のSQUARE ENIX PARTY での「(獣使いに関しては)早いうちにやります。お約束します。」等の発言があったものの、その後「獣使いだけにテコ入れするのは、他のプレイヤーを不快にさせると思うので」という発言で一部の反感を買う。しかしこの発言は、「獣だけテコ入れするとプレーヤーが悲しむから、アルタナの神兵発売時に全ジョブ一斉に調整する」というポジティブな解釈もできる。

また過去の開発インタビューで、各ジョブの今後の調整について竜騎士だけ「no plan」という残念な記述があり、これを見て涙を飲んだ竜騎士もいたという*6

アルタナの神兵で追加ジョブについては、「何かに特化させると既存ジョブとバランスが取れないので、中間的な役割を持った形にする」と発言している。リフレシュコンバートの無かった昔の赤魔道士のように、何かに特化した能力が無いジョブ不遇を味わうのではと、この発言に対する不安の声も上がった。実装直後は不安が的中してしまったが、意外にも対処は迅速であったため、程なくして改善。現状では学者踊り子ともに他ジョブにないオンリーワンの独自性を築いている。

外部リンク

→ヴァナ★フェス2012 Project XI~開発者たち~ダイジェスト(3代目ディレクターとして登壇)
*1
マップ構成、仕掛け、モンスター配置などをプランニングする役。
*2
ttp://twitter.com/MomantaG より
*3
中心メンバーにがんばれゴエモンシリーズの元スタッフが多いゲーム制作会社で、その繋がりでの入社と思われる。
*4
プロマシアの呪縛」は、マッププランナーの方針とバトルコンテンツチームとの両方が高い難易度で設定してしまったため、超々高難易度になってしまったとも考えられる。
*5
具体的にはアラパゴ暗礁域などの見破り多数エリア
*6
あまりにも落胆の声が大きかったためか、あるいは小川氏ならではの「ドッキリ」の演出のためか、紆余曲折はあったものの結局は竜騎士へのてこ入れが成されたことは付記しておく。
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