ギル回収

記事名読み
ぎるかいしゅう
プレイヤーキャラクターが持つゲーム内の通貨、すなわちギルを消費という形で減少させ、ヴァナ世界におけるギルの総量を減少させる手段をこのように呼ぶ場合がある。

プレイヤーキャラクターは、クエストミッション報酬、所持アイテムNPCショップへの売却、獣人タイプモンスターの戦利金などの形で、ゲームシステムによってギルを増やすことができる。これを「ギル流出」もしくは「ギル創出」と呼ぶ場合があるのに対し、逆に前述のような形でプレイヤーギルを消費することは、見かけ上あたかもゲームシステムに通貨が回収されているかのようであるため、このように呼ばれる。
ギル回収手段の例
ギル回収の手段をひと言で表現すると「再譲渡できない物事にギルを消費させる」ということになり。ギルがその流通の最終地であるシステム側へ到着させるための手段ともいえる。

一般的な平常時の具体的なギル回収手段の例としては、

また、かつて存在したバザーへの関税ギル回収の1種と言えるだろう。

平常な世界であればインフレデフレは緩やかに揺れ変動を見せるが、BOTなど不正手段や不当なエリアNM占有などでギルの引き出し量が増えると、通常のギル回収手段ではバランスが取れず急速なインフレが進む。

こういった急速で多額に引き出されたギルを回収する手段として、不正な手段で膨大なギルを得たプレイヤーアカウントを剥奪し、そのキャラクターが持つゲーム内通貨ごと凍結させるギル回収方法もある。

なお、ヴァナ世界ではNPC売りできる全てのアイテムは、潜在的に「ギル引き出し・流出・創出」力を有している。このため、ギルド指定生産品納品制度は、「ギルを生み出すことができるアイテム」をギルという対価なしで回収することを可能ならしめるものであるため、ギル回収の一つの形態と解することが可能である
注釈1
リアルの世界でも、インフレが高進する時期には、富を実物資産(通常は貴金属か宝石)に換えて保蔵するのが一般的であり、こうした実物資産の没収にはインフレ抑制効果があることが知られている。指定生産品の納入も本質的にはこれと変わらない。

ギル回収の必要性
プレイヤーキャラクターがゲームシステムから獲得できる通貨ギル)の量に制限はないため、一般にゲーム世界内通貨の総量は増加の一途を辿る。

通貨に対する需要(プレイヤー数の増加や、ギル消費を消費する行動の広がり
注釈2
例えば、チョコボに乗れる人が増えれば、チョコボ代として消費するプレイヤーが増える。
などによりその需要が増える)と対比して、度を越えてギルが増加した場合には「ギルの価値」が下がる。この現象がいわゆるインフレ(物価上昇)と呼ばれるものである。

この状況が顕著になると、総プレイ時間の長いプレイヤーと短いプレイヤー(特にゲームを始めたばかりのプレイヤー)の間で経済格差が大きくなり「初心者にはとっつきにくいゲーム」、「しばらく離れると復帰しにくいゲーム」となる恐れがある。また、プレイヤー間の極端な経済格差はRMTの利用を助長し、RMT業者の一段の増殖につながりうる。このほかにも、クエストなどで得られる額は一定であるため、相対的にクエスト報酬の価値が下がったり、プレイ時間に占める金策の割合が高くなりすぎてゲームとしての魅力が低下するなど、多くの問題をひき起こしうる。

通貨の消費はゲームとしての演出の一つでもあるが、前述のような問題を回避するための「通貨回収メカニズム」として設計されているのが、MMOとしては一般的であるようだ。むしろ、適切な通貨回収のメカニズムはMMOには必要不可欠で、こうしたメカニズムを全く持たないMMOは存在しないと言ってもよいだろう。

一般に、MMOの開始初期は、プレイヤー数が急激に伸びているため通貨に対する需要も健全な伸びを示すのが普通であり、プレイヤー間の経済活動を活性化するという観点もあって、過度の通貨回収を抑えることが多い。これに対して、円熟期においては、プレイヤー数の伸びが頭打ちとなる反面、ゲームシステムからの通貨流出が活発になるため、通貨回収を強化してインフレを防ぐのが健全なゲーム世界経済の維持のために有用とされている。しかし、運営サイドの微妙な匙加減が重要であり、この辺りのバランスはなかなか難しいようだ。

FFXIは多くのMMOと異なり、装備品維持費がかからない(武器防具が消耗し、これに修繕費がかかる。しかもハイ・エンドの装備ほど修繕費が高いという仕組みのMMOは数多い)、インフレ心理をあおりやすいハイエンド・アイテムエクレア化されていないものが多いなど、インフレ対策という意味では比較的緩いシステムが特徴といえる。そうした中、インフレの高騰が何度か深刻な問題になるに及んで、運営側もギル回収の手段を試行錯誤しているようである。

個々のプレイヤーにしてみれば、システム全体における通貨の需要・供給のバランスの重要性には関心が無かったり、そもそも理解の範疇を超えていたりすることも多々あるようだ。FFXIのように比較的インフレ対策が緩いゲームにおいても、「ギル回収」に対しては、あまり良い印象を持たないプレイヤーが少なくない
注釈3
例えば、デュナミス突入に必要な「止まっている砂時計」やリンバス突入に必要な「コズミッククリーナー」の購入費用の高さがあからさまにギル回収を意図していると感じる等。

プレイヤー間の取引とギル回収との関係
なお、競売所の利用やトレードによってプレイヤー間で物品の売買を行うことそのものはギル回収には当たらない。ギル回収につながるのは、その際の手数料である。

同様に、消耗品を大量に競売で買い消費したとしても、その購入に充てたギルは出品した冒険者に渡っているわけで、消耗品を消費する行為そのものがギル回収につながるとは限らない。ギル回収につながるのは、消費された消耗品の生産に際してNPCからの合成素材の購入があった場合である。

具体例としては、スシにおけるねりわさび(タブナジア特産品)、紙兵の中間素材である靭皮紙を作るのに使われるエルム原木(タブナジアで販売)などがある。いずれもNPCの販売価格が1,000ギル単位である上に大量に消費されるため、そのギル回収(=インフレ抑制)効果は無視し得ない。
関連項目
インフレ

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