インドの神話に登場する怪物。
その名は「障害」を意味し、文字通り神々の天敵であり、インドの厳しい風土を象徴する、嵐の象徴化でもあったと云う。龍の姿が一般的であり、黄色く濁った鋭い目、裂けた口からは牙が覗き、漆黒の皮膚が全身を覆っていた。
ダイティヤ族であるが故に、息子達を神々に殺され続け、彼らの母であるデティは嘆き悲しんでいた。それを見たカシュヤパは激怒し、天に祈りを捧げ、インドラを打ち倒す者の出現を願った。その
憎悪が天に届き炎の中から生まれたのが、ヴリトラだと云う。こうして生まれ出たヴリトラは「天空の牡牛」を盗みだし、何処かへ隠してしまった。それによって、地上には雨が降らなくなり干上がってしまう。
人々は飢えで苦しみ、それを嘲笑うかのようにヴリトラは破壊の限りを尽くした。人々の願いが天に届き、激戦の末インドラがヴリトラを打ち倒すが、ヴリトラは何度も蘇り、その度にインドラと対決する。前記した通りヴリトラは嵐の神格化である。加えて、インドラも同じ
暴風雨の神格化だと言われている。
なお、ヴリトラが呼び出す
スケルトン族のPeyとIruchiは、インド神話でヤマ神に遣えるボサボサの髪をしたグールの女。戦場で傷ついた兵士を探し、傷口から血を啜って死に至らしめるという。
同じく
ゴースト族のAiriはインドの民間伝承に登場する邪悪な
精霊。丘に棲み、あたりを旅する
人間に危害を加えるという。