タ
ラスクとはフランス・プロヴァンス地方タラスコンに棲むといわれる怪獣である。
伝説によると体長は馬より長く、
ライオンの頭、剣のような鋭い歯、馬の鬣、背中には研いだ斧のような突起、全身の鱗は逆立つ錐のようで、熊のような爪を生やした足が6本。尾は蛇の形をしているという。
この怪獣はローヌ河傍のタラスコン城近くに渦巻く淵の中に居たとされ、しばしば船を転覆させたり、川岸を通りかかる人々を獲って食べたという。
結局、この怪物は聖女マルタ(マルティラ)が
聖水で大人しくさせ、縛り上げた隙に
勇者が槍と石で殺すことで成敗されたのである。
別の伝承では、
勇者は登場せずあくまで聖女マルタの慈愛と説得によりタ
ラスクが改心し、首輪をつけられて街に凱旋された。
しかし既にタ
ラスクによって何人もの死傷者が出ておりタ
ラスクの被害者達の嘆きと怒りは治まらず、
またタ
ラスクに直接被害を受けていない者達も「本当に改心したのか」と疑心にとらわれ、タ
ラスクへの石投げ報復が始まってしまう。
マルタが庇い周囲を諭すがそれは止まず、しかしタ
ラスクは決して反抗することなく街の者達の石を甘んじて受け、息絶えた。
聖女の慈愛と人々の愚かさ、そして愛を知ったが故に死んだこの怪獣の出来事を人々は忘れぬため、後世の人々はタ
ラスクを祭ることとなる。
現在でもプロヴァンス地方ではタラスコン(タ
ラスク)の
祭りが行われ、この怪物の姿をした山車が
行列を練って歩く風物となっている。
スペイン語ではTarascaという綴りになり、こちらは旧仕様の
デュナミス-ブブリムにおいて
ドラゴン族NMとして登場していた。