鏑と呼ばれる一種の笛を取り付けた
矢。鏑は木製や角製で、球形や円筒形、八角柱形など様々だが、いずれも中をくり抜いて複数の穴が空けてある。
このため放つと長音を立てながら飛んでいく。
普通の
矢より一回り大きく、
矢尻もY字型の雁股等が用いられており、
戦闘用ではなく合戦の合図となる矢合わせなどで射るほか、流鏑馬や神事などでも用いる儀礼的・呪術的な
矢と言える。
箙の一番外側に2本ほどを差していることから「上差し」などとも呼ばれる。
弓の名手として名高い源為朝が保元の乱で白河殿の守りに付いた際に、初めて相対する東国武士に
弓の腕を見せるため
征矢(そや:
戦闘用の矢)ではなくあえて
鏑矢で敵を射たという。
このようなエピソードからも、元々は
命中に難があるように見える
矢なのだが、
飛命+がついているのは、おそらく那須与一が扇の的を射たのが
鏑矢なのが理由だろうと思われる。