カスレとはフランス南西部オック地方の豆
料理で、インゲン豆とキャベツと塩漬けの豚肉を煮込んだ
料理である。名前の語源は「カソール(すり鉢の溝を消したような底に向けてすぼまる広口の土鍋)」で作る伝統から来ている。
ルーツについては諸説あるが、フランスの農民が食料が限られている冬に食べ始めたものが始まりとされている。保存の利く豆を
満腹度を高めるためごってりと入れ、キャベツ、塩漬けの豚肉に、香味野菜や
キノコなどいくつかの野菜を加えて煮込んだこの
料理は、まさに冬越えのための
料理といえるものであった。
豆とキャベツ(ちりめんキャベツが多い)と豚肉を煮込む点が共通で、現在ではトマトなど加える材料が増えたり、濃厚な煮汁を伸ばしてスープ仕立てにしたり、肉の骨のあるなし、あるいは肉が
ソーセージになるなど多くのバリエーションが存在する。
また、フランスと国境を接していたイタリアのロンバル
ディア州(ミラノがある州)にもカッソーラ(Cassoeula)と名前を変えて根付いている。綴りがやや特殊なのは
フランス語の名残である。こちらは15世紀末にルイ12世がミラノを攻めた際、
傭兵達がイタリアへ伝えたのではないかという説が有力。カッソーラもまたバリエーションが豊富だが、豆・キャベツ・豚肉の三本柱は同じ。ただし、フランスとは違いポレンタというトウモロコシの粉を使った硬いおかゆを添えるのが一般的で、
肉料理としての面が強い。
現在は不明だが少なくとも2009年まではフランス軍とカナダ軍のレーションにもなっていた。
ちなみにカソール鍋は時代と共に金属製に変わり形状も改良され、今日ではキャセ
ロールという名前の道具に進化して世界中のレストランで愛用されている。