正宗の弟子とも称される九州の左安吉(さのやすよし)が創始した左文字派の短刀のひとつ。重要文化財。左文字派の誰が作ったのかまではハッキリしないが、銘を切るときに「左」と一文字だけ入れるのが特徴。
この刀の元所有者が母の仇を討つのに使ったという謂れがあり、その話を耳にした戦国武将の山内一豊が入手。そこからさらに細川幽斎に渡った刀で、幽斎は「命なりけり小夜の中山」という西行法師の歌の一節からこの刀に小夜と名づけ、以後
小夜左文字と呼ばれるようになった。
「小夜の中山の景色は自分の命である=この刀は自分の命である」と洒落るくらいだから、さぞかし愛用していたのであろう。