なめし革を獣脂などの油脂に浸漬したり、煮込むことで脂を染みこませて
硬化させたものを指す。
その性質上多少ひび割れやすくなるものの撥水性・硬度・耐摩耗性など
戦闘に必要な諸々の要素が向上するうえ、脂を染みこませているので他の皮革類より劣化が緩やかになることから
メンテナンス性もよくなる。
いつ頃からこの製法が確立されたかは不明だが、八世紀には
シャミ革らしき革で鎧を作っていたとされる記録がドイツ南部に残っており、板金鎧が発達し始めた百年戦争前期のブルターニュ継承戦争の頃に、当時の
革工ギルドからモンフォール伯宛てで送られた「麾下の
傭兵隊が購入した革鎧の代金が未納である」との催促状が残っていることから、威力の高い銃が普及して鎧そのものが廃れるまで板金鎧は高級鎧として、革鎧は安価な鎧として棲み分けが成されていたと思われる。
余談だが
ブリガンダイン(ブリガンドなどいくつかの呼び名がある)も本来は革を使った鎧で、弓兵や従卒といった
重装備が不要な兵士や、やや身分の低い者が使っていたとされており、イタリアで一部が現存しているそれには
シャミ革に金属片を裏打ちしていたものもある。
現代においては伝統工芸品用途の他、ルアーとしても使われる皮革の一つでもある。
狙いは良型のアジなどで喰い付きが良いとも言われるが、潮による劣化があることやそもそも革の生産量が少ないことから樹脂製ルアーなどの影に隠れつつある。