現代では
バストゥークにて
宝石コレクターとなっている
ワヒッドだが、
水晶大戦時は宝飾商であった。妻のスウァンチェは腕の良い
彫金師で、彼女の加工した
宝石は、
大戦時であっても、高官たちに信じられないような値段で売れた。
ワヒッドは買い付けさえ満足に行えれば景気よく暮らせると考え、
冒険者から
原石を買い取り、スウァンチェに加工させようとする。しかし、スウァンチェは「こんな時代だからこそ、お金ではなく、夢や希望が大事」だと拒み、言い争いの末、家を飛び出してしまう。
Swantje : 高価な
宝石なんかじゃなくていい。
そう、たとえば伝説に出てくるような不思議な
宝石で、
皆にワ
クワクしてもらえたら……。
Wahid : そんなに他人の夢や希望が大事なら、自分で探しに行けばいい!
伝説の
宝石とやらをなっ!!
家に戻らないスウァンチェを探し始めた頃、
ワヒッドは彼女が残した一通の手紙を見つける。そこには、結婚当初に彼が彼女に贈った「
空の指輪」に嵌め込むための、伝説の
宝石を見つけたいと記されていた。「
空の指輪」とは、伝説の
宝石が嵌めこまれることで、ふたりが一番幸せだったときに戻れると言われる指輪であった。
その後、スウァンチェは
パルブロ鉱山出口にて遺体で発見される。手には
オブシディアンを握り、そばには「
空の指輪」が落ちていた。おそらく
オブシディアンを探しているうちに、
クゥダフ兵に襲われたのだろう。
大戦時、
パルブロ鉱山は民間人が理由もなく行くような安全な場所ではなかった。
オブシディアンには、
ワヒッドがまだ高価な
宝石を買付けできない駆け出しの宝飾商だった頃、毎日のようにスウァンチェが拾ってきては、指輪用に綺麗に磨き上げていたという思い出があった。
オブシディアンは特別高価でも綺麗でもないが、夫婦にとっては、伝説の
宝石であったのかもしれないと
ワヒッドは思うのであった。
Wahid : これからは高価なだけの
宝石じゃなく、
伝説に登場するような不思議な
宝石を集めることにするよ。
それがあいつの……スウァンチェの願いをかなえ、
暗く沈んだ人々の夢や希望にもなるというならな。