200年前に活躍した
シュルツ流軍学の開祖グンサー・
シュルツ、そして
水晶大戦時代に現れた
シュルツII世。結論から言うなら、歴史上に姿を見せたふたりの
シュルツは同一人物である。
幾多もの戦果をその智謀で得、片眼を負傷した後も病床にありながら第二次
コンシュタット会戦を勝利に導いた彼は、戦後「
シュルツの戦略論」を書き上げ退役し、静かに余生を送った――とは人々の知る英雄
シュルツの軌跡であるが、その伝記には先がある。死の床を前にした彼は、「計らずも後悔の念に駆られている自分に気づいてしまった」のだ。
いまだ彼の頭脳にのみ存在する
戦術、兵器、
魔法。それらが自分の死と同時に潰える。その後悔を突いて現れた魔神ビフロンス卿(
Count Bifrons)との取引により、彼は不老不死たる
魔物の肉体を手に入れた。その後、彼と彼の
戦術に並々ならぬ興味を抱いていたビフロンス卿は、この世の戦争や紛争を遊戯盤に見立てて「対局」を繰り返してきた。彼曰く、自分達の影響を受けていない戦争や紛争の方が珍しいほどに。
水晶大戦における
シュルツ流軍学――即ち
冒険者がなるところの「
学者」。
グリモアを教書とし、「知行合一」を理念とする一派。その広い投入は、彼の説明するところでは、
獣人側を選んだビフロンス卿に対抗するため、駒落ちの不利な対局に勝つための手段であったらしい。この手は功を奏し、
アルタナ連合軍は無事に勝利を収めるが、
大戦中に起きた「連続魔道士失踪事件」が原因となって
大戦後に
シュルツ流軍学者は弾圧を受け、
グリモアは焚書となった。これにより、
グリモアを用いる
学者は表向き絶えることとなる。
水晶大戦から20年経ち、「
冒険者の時代」となった現代。時代を超えてグンサー・
シュルツの眼前に立った
冒険者は、彼の「試験」を受けることになる。彼に「
グリモアを継ぐもの」として認められた
冒険者は、そこで初めて彼の真実、そして
水晶大戦以後の
学者達の処遇を知らされた。そして再び
冒険者と「対局」するかもしれないという言葉を残し、彼は去っていった。
Schultz : ふふふ、楽しみですね……。
というわけで、此度の対局はお預けとしましょう。
Schultz : 来たるべき
新たな戦が始まる、その日まで……。
なお病床に着く原因となった片眼の負傷であるが、
水晶大戦時代に現れた彼、即ち
シュルツII世にその跡は見られない。これは義眼をしているためである。