クルタナは、イギリス王家に代々伝わる祭器として実在する剣である。
王権の象徴として剣の姿を取っていると同時に、慈悲の象徴として切先が作られておらず、そのため一般には「Sword of Mercy(慈悲の剣)」という名前で知られている。
ゲーム中での性能は、この特性を如実に反映したものであろう
。
発祥は不明だが、記録によれば13世紀には既に存在し、ヘンリー三世の妻であるエリナー王妃の戴冠式で用いられたという。
17世紀のピューリタン革命で王権が失墜した際に一度失われるが、後にチャールズ二世によって新たに作り直され、現在も王室の儀式で使用されている。
精神的な意味合いで尊ばれる剣であるため、
物理的にオリジナルであるか否かはあまり問題ではなく、その点では、日本の草薙の剣と良く似た存在であると言える
奇しくも、一度失われてから作り直されたという歴史的経緯まで似通っている。
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クルタナという名前は、イギリス最古の叙事詩「ローランの歌」に由来すると言われている。
物語の主人公ローランは
デュランダルの使い手であり、カール大帝率いるフ
ランク帝国の将軍としてサラセン人との戦いで活躍するものの、名誉を重んずるあまり援軍を求めなかったことから、敵軍に追い詰められてしまう。
自らの死を覚悟したローランは、
デュランダルが敵の手に渡ることをよしとせず、
大理石の岩に打ち付けて折ろうとする。
一般的な伝承では、ここで剣は折れずに岩の方が真っ二つになってしまうのだが、異説によれば、剣は折れずとも切先だけは欠けてしまい、それ以降は「コールタン(短い剣)」という名でも呼ばれるようになったとされている。
イギリスの慈悲の剣もまた同様に切先を持たないことから、これに因んで、コールタンの訛りである「
クルタナ」の名が与えられたということである。