曲亭馬琴(滝沢馬琴)著「南総里見八犬伝」に登場する八剣士の一人、犬塚信乃戍孝の持つ刀、「
村雨丸」から引用されている。
もと関東管領・足利持氏の所有であったが、信乃の祖父の代に幕府に反乱を企てて持氏は敗死。持氏の子春王丸に譲られていたが、春王丸が捕らえられいよいよ敗色濃厚となった際に、春王丸の近習をしていた祖父大塚匠作から信乃の父番作(後に犬塚に改姓)の手に託され、やがて成長した信乃の所有となった。物語の終盤に足利成氏(春王丸の弟)に返却される。
殺気を込めて抜くと、刀の茎に露が滴り、人を斬ると水気は流れる程となって、
村雨のごとく血潮を洗い刃を汚さぬことから、
村雨丸と名づけられたという。